【福岡・長住小学校】理科実験中の塩酸事故から学ぶべきこと

「小学校の理科の実験中に塩酸がこぼれて、
目の痛みなどの体調不良…」

このニュースを目にして「何で?」と
あなたは思いませんでしたか。

小学校レベルなら希塩酸を使うはずなので
においもあまりしないし、手についたくらい
ならすぐ洗い流せば全然大丈夫だしと。

結果的には軽症だったので良かったのですが、
それなりの騒動になりました。

小学校と中学校で理科を教えていた経験を
元に思ったことを書いてみました。

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1.理科の実験中に塩酸こぼれ児童13人搬送

10月13日のお昼頃、福岡市立長住小学校
で6年生の理科の実験中に塩酸がこぼれた。

教師が拭き取っていたら、においを嗅いだ
児童らが目やのどが痛いなどの体調不良を
訴えたので119番通報をした。

というのが大まかなニュース内容でした。

いくつかのニュースサイトをみてみると微妙
に表現がちがっているので、何が原因なのか
はっきりとはわかりません。

2本の試験管が倒れてこぼれたとか、試験管
を持っていた児童に隣りの児童の手が当たっ
てこぼれたとか。

直後に別の児童が、試験管にアルミニウムを
入れる作業中に手を滑らせてこぼしたとか。

こぼした塩酸の量は、3mLだったり6mLだっ
たりはっきりしませんが、

おそらく試験管1本につき3mLの希塩酸が
入っていて、2本分の合計6mLがこぼれた
ということなのでしょう。

消防や警察が詳しい状況を調べているらしい
ので、ぜひ原因を追求して教えて欲しいです。

理科教師の経験者としては非常に興味が
あるので。

2.症状から考えられる原因

① 濃い希塩酸だった?

塩酸には、つーんとした刺激臭があります。

小学校では水で薄めた希塩酸を使うので、
そんなに強い刺激臭ではありません。

ただ、アルミニウムや鉄を溶かす実験だった
ということなので、時間的なことを考えて
少し濃い目の希塩酸にしたのかもしれません。

このあたりは、担当した教師が理科を専門と
していたり、理科好きな先生ならば安全に
かつ臨機応変に準備して授業をすすめるはず。

たとえ理科が苦手だったり、経験が浅い先生
だとしても、実験で使う希塩酸の作り方は
いろいろな指導書や解説書の載っているので
事前に作って、予備実験をしているはずです。

その際に、希塩酸が濃すぎるとにおいが強い
ことに気づくし、アルミニウムや鉄が溶ける
時の様子が激しくなることも経験できます。
(← 化学反応です)

ちなみに、この化学反応のときは試験管が熱く
なることがあるので、上の方を試験管ばさみで
持つか、試験管立てに立てて観察します。

なので、

「児童の実験でこの濃さではヤバイな」と

あらかじめ気づくことができるわけです。

とは言っても、どれくらいの濃さだったのかは
ニュース情報からはわかりません。

溶かすアルミニウムと鉄が、いわゆるアルミ箔
とスチールウールで、少しの量(質量)ならば
薄めの希塩酸でも溶けますが、

量(質量)が多過ぎるとすぐには溶けません。

実験用の、アルミニウムと鉄の金属片もあり
ますが、溶かすためには濃い目の希塩酸に
しなくてはいけません。

加熱という方法もありますが、ここでは省略。

② 水で薄めない原液の塩酸を使った?

小中学校で取り扱う塩酸はどのメーカーでも
同じようなものです。

透明で濃い茶色いビンの中に入っていて
塩化水素が35%くらい含まれています。

ふたを開けると、白いけむりのようなものが
出てきて、鼻をつくような刺激中が広がって
きます。

白いけむりのようなものが見えない時もあり
ますが、つーんとしたにおいを嗅ぐと自然と
身体が拒否反応を示しますよね。

「これはヤバイ!」と。

小中学校の理科の実験であなたも経験した
のではないでしょうか?

薬品のにおいを嗅ぐときは直接嗅がずに、
手で仰ぐようにして嗅ぐと。

においを手で手繰り寄せるような感じですね。

このようにしないで直接嗅ぐと、鼻がおかしく
なってしまいます。最悪、病院行きです。

今だから言える話ですが、たまに

危険度を周知徹底しても、中にはふざけて
ちょっと嗅いでしまう児童生徒がいました。

すぐに外の新鮮な空気を吸わせたり、うがい
をさせたり、事後の様子を確認したりして
事なきを得たのですが、教師としてはかなり
ビビったものです。

話が脱線してしまいました。戻します。

ニュースでは「希塩酸」「薄めた塩酸」と
なっているので、そのままの塩酸(原液)
ではなかったと私は思います。

塩酸を薄める作業を児童にさせていたような
文面もあったと思ったのですが、私の勘違い
だったと思いたいです。

「水に塩酸を混ぜる」という手順があるし、
試験管では行わない作業なので、これを児童
にさせるということ普通はありえません。

③ 化学反応した気体を吸った?

こぼれた希塩酸にすでにアルミニウムや鉄が
入っていたかどうか情報がないので何とも
言えません。

化学反応していたのかどうか。

当時、理科室には37人が9班に別れて実験
していたらしいですが、そのうち女子9人と
男子4人の13人が体調不良になったよう。

「目が痛い」「のどが痛い」「頭が痛い」等、
いくつかの症状を訴えたとのことです。

いずれの児童も意識があって、症状は軽いと
いうことで、まずはよかったですね。

小学校レベルでは、塩酸にアルミニウムや鉄
などの金属を入れると泡を出しながら溶ける
ことを学習し、(『溶ける』の復習をし、)

金属が溶けている塩酸を蒸発させると白い粉
が残って、その白い粉を塩酸に入れると溶け
ないことから、別の物質ができたということ
を学習していきます。

この他、知識として以下のことに触れること
もあります。

・銅など塩酸に溶けない金属があること

・溶けている(化学反応している)ときに
出る泡は水素という気体であること

・白い粉は「塩化アルミニウム」「塩化鉄」
という物質であること

この化学反応をしているとき、ブクブクと泡
(水素)が出るわけですが、同時に何とも
表現しにくいにおいもしてきます。

身体に悪そうなにおいなのですが、この実験
のとき教師は必ず換気をしているはず。

換気扇を回したり、窓を開けたり。

こぼれた塩酸が6mLであることを考えると
それほど多い量ではないので、こぼれた分
での化学反応での影響ではないような感じも。

13人という結構多い数なので、何らかの
におい(気体)が充満したのかもしれません。

でも、他の班でも同じ実験をしていたことを
考えると、塩酸のにおいも、化学反応で発生
したにおいも実験台(机)ごとにあったと
考えられます。

搬送された13人がバラバラの班だったのか
近くにかたまっていたのかはわかりません。

仮に、こぼれた実験台(机)についていた
何らかの薬品と化学反応をしたのだとしたら
とてもこわいですね。

小学校で使う薬品は限られているので、
「まぜると危険!」のような薬品は
使わないはず。

だとすると、掃除で使っている洗剤に反応
したとか、児童の文房具や衣服に塩酸が
反応したとか。

いろいろ考えてしまいます。

④ まさかの「いたずら」?

今回はないと思いますが、理科の実験中に
いたずらをする児童生徒が時々います。

危険だと注意しておいても、面白半分で
塩酸に何かを入れて溶けるかどうか実験
してみるわけです。

「怖さ」よりも「好奇心」が勝ち。

分かる気もしますが、そうならないように
理科を担当する先生は塩酸の怖さを強調し、
安全に十分配慮するように指導をしている
はずなのですが。

何か変なモノを入れたせいで化学反応し、
危険な気体が発生する可能性もないわけ
ではありません。

何が起こるか予想もできないので怖いので
あってはならない出来事です。

⑤ 「集団ヒステリー」「集団パニック」?

ツイッタ-を見ていたら「集団ヒステリー」
では?というツイートがありました。

初めは「何だコレ?」と思いましたが、
数秒後には「なるほど。アリ得るかも」に
変わっていました。

【集団ヒステリー】
一定の集団内で多数の人にヒステリー症状,すなわち,痙攣(けいれん),失神,歩行障害,呼吸困難などの身体症状,または興奮,恍惚状態などの精神症状が伝播すること。(以下省略)
(コトバンク「世界大百科事典 第2版」より引用)

においに敏感な児童がいて、塩酸のにおいを
嗅いだことによって気分が悪くなることは
あると思います。

私の経験ではありませんでしたが、いても
おかしくはありません。

それに、車酔いや船酔いの例はふさわしく
ないかもしれませんが、過敏な一人を見て
「私も」「俺も」と気分が悪くなることが
ありますよね。

それが初めて経験する「塩酸の刺激臭」
だったとしたら。

また、初めから気持ち的にヤバイと思って
いたり、生理的に受け付けないにおいだっ
たとしたら。

集団でパニックになる可能性もありますよね。

考えすぎかもしれませんが、ないとは言い
切れません。

3.まとめ

いろいろ思ったことを書いたら長文になって
しまいました。

まとめることも難しいのですが、「塩酸事故」
から何を学ぶべきか考えてみました。

① 事前準備をしっかりする

どれくらいの濃さの希塩酸を使うべきか、
予備実験をしてしっかり確認しておきたい
ものです。(安全確認 → 安心)

② 「塩酸とは何か」を教えておく

刺激臭や腐食性があるといった危険な情報
だけではなく、胃酸のことや薄めて適切に
使うと安全なことなども伝えたいですね。

過度に怯えて、楽しく実験できないと損
ですから。

③ 換気には注意を払う

④ 実験は立ってやる(椅子は机の下)

でも、やはりいちばん大事なのは、

⑤ 実験に集中する

はしゃいでいると何かの拍子に試験立てに
立てている試験管が倒れてしまったり、
振り向きざまにぶつかったり手が当たった
りすることがあります。

実験台を囲んで座るような場合、いろんな
方向を向いておしゃべりすることがありえ
ますから。

自分の実験に戻ろうとふと振り向いたら…。

もし硫酸、硝酸なら…。

ゾッとします。

理科の実験が好きな児童生徒は多いです。

楽しく理科の実験をして自然科学について
学びたいもの。

気をつけたいですね。

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