「なるほど、そうきたか。さすがに上手い!」
超人気お笑い番組「IPPONグランプリ」(フジテレビ系列)での、松本人志チェアマンのオープニングのつかみです。そう思ったのは私だけだったのでしょうか?
とても参考になる話術です。
5月12日、デビュー後の公式戦を17連勝と更新した、将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)をネタに使い、会場の観客と視聴者を笑わせてくれました。
やっぱり天才ですね、この2人は。
目次
1.藤井聡太の17連勝
IPPONグランプリの放送が翌日の13日だっただけに、藤井四段をチェックしている人にとっては、松本チェアマンに取り上げてもらうだけで嬉しかったと思います。
現在、絶好調の藤井聡太四段は、5月12日に大阪市の関西将棋会館で行われた王将戦一次予選で、西川和宏六段(31)を破り、自身の持つデビュー後の公式戦記録を17連勝に更新しました。
藤井四段にとって西川六段は、奨励会時代の幹事(指導係)だったそうで、昨年10月の四段昇段(プロ入り)まで世話になっていた恩人とのこと。今回の対戦で恩返しをしたことになるでしょう。
対局後の藤井聡太四段は次のように話しています。
(17連勝は)特別に意識せず臨もうと思っていたが、ここまでできるとは思っていなかった。終盤に勝ちになってよかった。次局も普段通り、臨みたい。
一方の西川六段は、
完敗。藤井君はこれからドンドン強くなるが、ついていけるよう努力したい。
と“教え子”の棋力に舌を巻いたそうです。
関連記事 ⇒ 中学生プロ棋士・藤井聡太四段からみる「天才の育て方」の3つのヒント
2.藤井聡太の苦手な科目とは
さて、藤井聡太四段の私生活については、多くのTV番組で取り上げられたり、雑誌の取材で明らかになっています。
(1)藤井壮太のプロフィールについて
・名 前 : 藤井 聡太(ふじい そうた)
・生年月日 : 2002年7月19日
(2017年の今年で15歳の中学3年生)
・出 身 地 : 愛知県瀬戸市
・プロ入り年月日 : 2016年10月1日(14歳)
(2)藤井聡太どこの中学に通っているの?
藤井聡太四段の通っている中学校は、名古屋大学教育学部附属中学校です。
ここは国立大学としては唯一の中高一貫校で、藤井四段は塾に通わず中学入試で合格しましたので、勉強はかなりできたと言えそうです。
中学校で2クラス(偏差値 65)、高校で 1クラス(偏差値 62)で生徒は少ないのですが、
なんでも個別指導が充実しているようで、子どもをもつ親としては羨ましくも感じますね。
(3)藤井聡太の得意科目は?
「地理」と「数学」だそうです!
「地理」については、地図を読むのが好きで世界中の山の名前と標高を覚えていたらしいです。暗記してしまうほど好きなんですね。あと、新聞を読んだり読書もしているので、知識もきっと豊富なんでしょうね。
そして、「数学」が好きな理由ですが、『問題の答えがはっきりしているから』だそうです。
幼稚園のころから既に四則演算を解いていたという話もあるので、答えを出す楽しさや嬉しさを幼少の頃から覚えていたんでしょうね。
現在売り切れ状態の積み木型パズル「キュボロ」が有名になっていますが、4歳のときに父から買ってもらったパズルで頭を鍛えていたわけですから、論理的思考の左脳を使いつつ、感覚的・直感的な思考の右脳をも幼少期からつくりあげてきたと言っていいでしょう。
ちなみに、「体育」も好きで、50メートルを6.8秒で走るそうです。
これは結構速い方ですよね。球技は苦手なようですが、俊敏性や俊足性があればゲームの動きを覚えれば楽しくできそうですが、何か理由があるのでしょうか。知りたいですね。
(4)藤井聡太の苦手な科目は何?
「美術」と「音楽」が苦手なんだそうです!
両方とも感性が必要だし、積み木式パズルを組み立ててきたわけですから、ものづくりは得意分野のような気がしますが、どうなのでしょう。
藤井四段は、将棋をする際に「左脳ではなく、右脳を使って直感で」差しているようです。実際に科学的な実験データもあるそうです。
詰将棋をかなりの数こなすうちに、論理的に数十手先まで読むというよりは、直感とひらめきの方が優れてきたということなのかもしれません。
苦手な科目が「美術」と「音楽」という理由ですが、とてもはっきりしています。
『問題の答えがはっきりしていないから』だそです。
なるほどですよね。人によって感じ方が違うし、明快な解答がありません。ないからこそ人間はずっと追求してきて歴史になっているわけですからね。
ここまで読んでくると気づくと思いますが、
- 『問題の答えがはっきりしているから』
- 『問題の答えがはっきりしていないから』
というのが、藤井四段が得意か苦手かの要因のようですね。
3.松本チェアマンのオープニング
さて、5月14日の「IPPONグランプリ」(フジテレビ系列)での、松本人志チェアマンのオープニングのつかみです。書き起こしてみました。
いやぁ、ほんとね。あれですよね。
いや、なんかあの~、将棋のね、羽生さんがね、
最近中学生に負けたじゃないですか。で、あの中学生がやっぱり頭いいんでしょうね。
やっぱりその、聞いたら、やっぱ得意なんは、
あの、数学やとか、あとパズルとかやっぱ得意。何が~、あえて言えば苦手なんですか、ったら、
あ~、美術がね、あんまり得意じゃないって。『何でですかぁ?』言うたら、あ~、やっぱ、
こうねぇ、あの~、『答えが無限だからだというね。
美術は。ここで終わりがない。
ゴールがないから僕は苦手なんです。』みたいなことを言うてたんですけどね。
じゃあ、大喜利はどうなんかなぁ、
と考えた時、確かに大喜利も、
え~、答えは無限ですよね。う~ん、無限だけども、う~、
爆笑が生まれた時に、それがゴールやからねぇ!
(会場は微妙な笑い)ここ全カットで~。っふふふ(吹き出して苦笑)
私は、このつかみは非常にすばらしいと思ったんですけど、会場の反応が期待通りではなかったためでしょうか、松本チェアマンは「ここ全カットで~」と苦笑して終わらせました。
この話は、単に面白いだけではなく、とても参考になることが含まれていると思います。
4.スピーチやライティングに役立つ流れ
まず、最近の話題をいきなり持ってきています。
将棋の羽生さんが中学生に負けたことはかなりニュースになりましたから、将棋に詳しくなくてもニュースを視聴した人は多いことでしょう。
次に、この中学生の優れた部分を持ってきて、数学とパズルと紹介しています。「頭がいい」といことを強調するための例なんですね。
ここで、意外性を出してきます。
得意ではなく苦手な科目のことを取り上げて、苦手な理由を紹介します。
「ゴールがない」からみたいなことを言っていたと。
そして、「ゴールがない」のは大喜利と同じ。答えは無限。と番組のことに焦点を持ってきて、視聴者に「なるほど、確かに。」と思わせます。
しかし、最後大声で言います。
「爆笑が生まれた時に、それがゴールやからねぇ!」
大喜利の場合は「爆笑が生まれた時」に答えが無限でなくなり、ゴールとなるというわけです。
「答えが無限」→「答えが無限でなくなる」
「ゴールがない」→「ゴールがある」
「爆笑」がそうさせる。
素晴らしい流れ、話術だと私は思いました。
(もちろん番組内の出演者や松本さんの解答も面白いし、素晴らしかったです。)
会場の反応は多少盛り上がらなかったかもしれませんが、結構気づいて笑っていた人が多かったと私は思います。
まとめ
超人気番組「IPPONグランプリ」のオープニングの話題に、時の人をネタに持ってくるのは常識なのかもしれません。
でも、ずっと賑わせている人をあえて名前を出さずに取り上げて、番組の真髄につなげていく話術はさすがにプロだなと思いました。
そのようなダウンタウン松本人志もスゴイですが、世間を賑わせている藤井聡太四段も本当にスゴイですね。今後も注目です。
ちなみに、
次戦は18日の加古川青流戦で、竹内雄悟四段(29)と対戦することになっています。