「えっ!北海道って、そんな怖いところなの?」
学生時代に北海道へ友人とツーリングへ行く際に、後輩に聞いた「エキノコックス」という寄生虫のこと。
「沢の水とか飲んだらヤバイですよ!」
ドラマ『北の国から」でかわいいキタキツネをみていたので、北海道へ行ったら実際に見てみたいと思っていましたが、一気にキタキツネが怖い存在に変わった瞬間でした。まさかキタキツネに寄生しているとは。
その「エキノコックス」によるとみられる症状で、札幌市円山動物園のテナガザルが死んたというニュースが流れました。
死因が「エキノコックス」の可能性があるとのことだったので、気になって調べてみることにしました。
エキノコックスとは
エキノコックスとは、寄生虫の一種です。その幼虫(包虫)が寄生する病気をエキノコックス症(包虫症)といいます。
成虫は体長1センチメートル以下と小さく、イヌやキツネの腸に寄生します。
感染経路は以下で説明しますが、虫卵から幼虫となり血液を通って主に肝臓に寄生して、そこで包虫となって増殖するのだそうです。
北海道では年間十数人の感染者がいるようですが、本州でも感染の報告があるようです。
北海道での感染源はキタキツネで、約60%のキタキツネが感染しているというデータがあるようですが、本州へ持ち込まれたルートは不明だそうです。
どうやって感染するか(感染経路)
北海道のホームページ「エキノコックス症の知識と予防 」によると、
○ エキノコックスの寄生サイクル
エキノコックスは、自然界においては、主にキツネと野ネズミに寄生しています。1.成虫は、キツネの腸に寄生して卵をうみ、その卵が糞と一緒に排泄され、野ネズミが木の芽等と一緒にこの卵を食べると、野ネズミの体の中で卵がかえって幼虫となり、肝臓に寄生します。
2.この幼虫が寄生している野ネズミをキツネが食べると、キツネの腸の中で幼虫が成虫になります。このように、エキノコックスは、通常、キツネと野ネズミの間の「食べる」と「食べられる」という関係の中で生きています。また、犬もキツネと同様に、エキノコックスに感染した野ネズミを食べることにより、エキノコックスの成虫が寄生しますので、犬を飼っている方は、その飼い方に注意が必要です。
以上のような感染経路で人間に近づいてくるようですが、最も重要なことは、
私たち人間は、エキノコックスの卵に汚染された山菜や沢水などを直接口にしたり、卵が付着した手指を介して感染して、野ネズミと同様にエキノコックスの幼虫が肝臓に寄生します。
人から人に感染したり、野ネズミから人に感染することはありません。
という部分です。
エキノコックスに汚染されたものを口から入れてしまうことに問題があります。虫卵を私たち人間が飲み込むことによって幼虫となって感染し、血液を通って主に肝臓に寄生して、そこで包虫となって増殖するのだそうです。
ちなみに、人体に寄生したエキノコックスが親虫になることはないため、ヒトからヒトに感染することはないんだそうです。
親虫になるのは、寄生した野ネズミを食べたキツネの腸。そこで親虫は虫卵を産み、排泄物と一緒に排泄されて、その虫卵が野ネズミの口の中に入って伝播していくのだとか。
今回の「テナガザルのニュース」では、野生のキツネが動物園に入ってきてフンをし、その際に虫卵が草について、檻から手を伸ばしてその草を食べたのではないかと考えられているようです。
雨水が流れて広がることを考えると、地面に落ちているものをそのまま食べるのは危険なのが想像できますね。
症状
包虫は脳や肺に転移することがあり、脳転移では神経症状が現れます。症状が現れてから治療せずにいると、10年で94%の患者さんが死亡します。
治療
手術で病巣を切り取る以外、治療法はないようです。
エキノコックスの成長を阻害して増殖を抑制する薬物療法もあるようですが、摘出が確実なのでしょう。そのためにも早期発見・早期治療が非常に重要で、その場合は治癒が可能だということです。
摘出手術といえば、ブラックジャックの話題が有名のようです。
この中の『ディンゴ』という回で、エキノコックスに感染して自分で手術をする話がでてきます。とても衝撃的な内容のようで、検索するとかなりヒットしますね。
私も子どもの頃に読んだ気がするのですが、当時の記憶では、気持ち悪いとうかリアル過ぎて直視できなかったことを覚えています。
まさか「エキノコックス」のことだったなんて。
当時は寄生虫は怖いと思っていましたが、サナダムシが印象的でした。
予防のポイント
北海道へ旅行するときは、キタキツネと接触しないことが大切ですね。そして、キタキツネがすんでいる地域では、土や草木などに触れたら手を十分に洗うことや、沢の水を生で飲まないなど、虫卵が口に入らないように気をつけましょう。
沢の水を飲む場合には煮沸してから、山菜や野山の果実などは60℃以上で最低30分加熱してから食べるようにしましょう。
沢の水をどうしても飲まなくてはいけない場合には、こんなモノがあるようです。「エキノコックス」に対応しているものがあるんですね。
一番レビュー件数が多い商品なので、いざというときのために購入している人が多いようです。また、海外旅行に行くときに折りたたんで持って行けるので都合がいいみたいです。
まとめ
エキノコックスは、虫卵を寄生している可能性があるキツネや犬に近づくときは注意が必要ですね。特に北海道内なのでしょうが、道外でも寄生される可能性がないとは言えません。十分気をつけましょう。
症状が現れるまで10数年かかるかもしれないので、もし不安になった場合は北海道のホームページ「エキノコックス症の知識と予防 」を参考にするといいです。
◆ 北海道以外にお住まいの方が、エキノコックス症の検査を希望される場合
北海道に滞在したことのある方で、エキノコックス症の血液(血清)検査を希望される場合は、次の検査機関において、血液(血清)を郵便等で受けて検査を実施していますが、最寄り(もしくはかかりつけ)の医療機関にて採血の実施と血液(血清)の郵送等をご相談いただく必要があります。(検査機関では血液を直接採取することは行っていません。)
検査の内容や検査料金など詳しいことは、直接検査機関にお尋ねください。
○ 社団法人北海道臨床衛生検査技師会立衛生検査所
〒065-0019 札幌市東区北19条東17丁目
TEL 011-786-7072
FAX 011-786-7073
○ 北海道立衛生研究所
〒060-0819 札幌市北区北19条西12丁目
担当:感染病理科(直通 011-747-2768)
TEL(代表) 011-747-2711
FAX 011-736-9476
早くテナガザルが死んだ原因が究明されるといいです。じゃないと、北海道の動物園に行くときに余計に気を遣ってしまいそうなので。
そんな悪評がひろまることはないと思いますが、今後の報告を待ちたいと思います。